英語学習ブログ

世界のピッチ-プレゼンテーション-ルワンダ

【共感を呼ぶスピーチ】聞き手を当事者にする“プレゼンのコツ”を学ぼう!プロがルワンダ企業の成功事例を解説します!

世界各国で英語のプレゼンをする機会は増加している

近年、日本企業が海外の投資家に向けて英語のプレゼンをする機会が増えてきています。それと同様に、海外の発展途上国から日本の投資家に英語プレゼンをするケースも増えてきています。現在、ビジネスを行う上で、英語でプレゼンをすることは避けられなくなってきています。

日本に進出しているルワンダの経済状況

先日、ルワンダの企業による英語のプレゼンを拝見してきました。皆さんはルワンダと言う国はご存知でしょうか?ルワンダはアフリカ東部に位置し、四国の1.5倍ほどの面積に約1,300万人が暮らす小さな内陸国です。1994年に発生した虐殺を理由に、一時的に国際社会から孤立していました。しかし、近年目覚ましい発展を遂げ、「アフリカの奇跡」と呼ばれるまで成長しています。

なぜこのような進化を遂げたのか?それはルワンダが※ICTに力を入れているからです。

※ICTは「Information and Communication Technology(情報通信技術)」の略で、通信技術を活用したコミュニケーションを指します。情報処理だけではなく、インターネットのような通信技術を利用した産業やサービスなどの総称です。ITに「Communication(通信、伝達)」という言葉が入っており、ITよりも通信によるコミュニケーションの重要性を強調しています。単なる情報処理にとどまらず、ネットワーク通信を利用した情報や知識の共有を重要視しています。

ルワンダのスタートアップは日本の投資家から資金調達をする場合が多い

ルワンダは「ICTと開発」を積極的に進めており、「発展途上国の中で最もICTに精通した国」として認識されています。2017年からは、「JICA ICTイノベーションエコシステム強化プロジェクト」を開始し、ルワンダでICTの活用をしたビジネスが数多く生まれつつあります。それに伴い、ルワンダのスタートアップがビジネスを展開するために、日本の投資家から資金調達をするために、日本の主要都市でプレゼンをします。ルワンダの成長のポテンシャルと、ルワンダが持つ独特の問題がビジネスチャンスにつながっているということです。

導入で社会問題を伝え、聞き手を当事者にする

当然ですが、プレゼンを成功させるには、導入部分で社会が持つ課題を細かく分析し、わかりやすく投資家に伝えることが重要です。これはルワンダの企業だけでなく、日本の企業にも言えることです。海外の投資家に日本企業が資金調達をつのる場合、まず、日本で社会問題となっていることを投資家にわかりやすく伝える必要があります。投資家に「プレゼンの内容は自分に関わる重要な問題だ。」として認識させて、興味をもって話を聞いてもらうためです。

プレゼンの導入部分で社会問題を投資家に上手に説明していたFarmPal Ltd.(ファームパル社)を一例にあげます。ファームパル社は農家とスポンサーを結ぶプラットフォームの構築、運営をする企業です。具体的なビジネスモデルは下記のようになります。

①自社のプラットフォームで資金を集め、農家へ提供し、農作物の生産量を上げるために定期的なアドバイスを行う。
②収穫量を販売後の売上から手数料を引いた額を農家とスポンサーで配分する。

このビジネスは、「ルワンダでは、農家が資金と生産ノウハウを持っていないために農作物の生産量が低い。」という社会問題が前提にないと成り立ちません。つまり、ルワンダでは、農家に農業技術と資金を与える理由を投資家に伝える必要があります。なぜなら、世の中で困っていることを解決することが世の中のニーズであり、そのニーズを満たすことで初めてビジネスとして利益が得られるからです。これをおろそかにすると、投資家はそもそも話を聞いてくれません。

そして、FarmPal Ltd.(ファームパル社)は、次のように、話を続けました。

「日本でお米の収穫が足りず、ある日、お米のない生活になったらどうなるでしょう?これが私たちの解決したい問題なのです。」

「日本人のお米のない暮らし」を聞き手にイメージさせることで、ルワンダの農業の状況が深刻であり、日本人が解決すべき、重要な社会問題であるという印象を生みました。

導入がうまくいったので、問題を解決するビジネスモデルへの説明もスムーズに行われ、投資家から評判のよいプレゼンになりました。

これから、投資家にプレゼンを行う方々は、「投資家へのプレゼンでは、まず問題ありきだ」ということを意識して、スライドや原稿をつくることを心がけましょう!

【ライタープロフィール】


瀧内俊之(Toshiyuki Takiuchi)

関西学院大学で言語学、文化論について学ぶ。アメリカのエモリー大学で演劇科を専攻、プレゼンの手法、舞台演出について学ぶ。帰国後は、ビジネスシーンやハリウッド俳優の通訳、ドラマでの英語指導を担当し、俳優としても活動した。その後、ENGLISH COMPANYにて多数の受講生を指導し独立。ビジネス英語に特化した短期集中型英語パーソナルトレーニングジム「 The DooR(ザ・ドアー)」のパーソナルトレーナーとして、3カ月の指導で350点以上のTOEICのスコアアップの実績を持つ。世界時価総額TOP50以内にランクインする様々な米国企業への転職サポートに成功している。世界で活躍する起業家を育てる官公庁主催のGlobal Challengeの受講生に対し、1ヶ月の指導で、200組のうち、4組の選抜組に入賞させ、シリコンバレーで海外投資家へプレゼンをする権利を獲得させる。日本の俳優に対し、ハリウッド・ブロードウェイへの進出をサポートする英語指導も行っている。YouTubeチャンネルのトシ先生のハリウッド英会話【海外映画・ドラマ】で英語学習やプレゼンのノウハウについて配信中。

関連記事一覧